乃木坂46 生駒里奈卒業コンサートについて
日曜日、乃木坂46 生駒里奈卒業コンサートのライブビューイングを渋谷で観てきた。
白眉は生駒の8分にも渡るスピーチだ。こんなスピーチができる女性は日本中探してもどこにもいない。文節を短く区切る語り口、「夢」という単語が混じるとどうしたって、マーチン・ルーサー・キングや、バラク・オバマのスピーチを想起してしまう。
セットリストも素晴らしかった。
特に冒頭3曲。
プライマル・スクリーム「Rocks」以外の何者でも無い「乃木坂の詩」
ザ・ヴァーブ「bittersweet symphony」や、オアシス「Whatever」、マニックス「Everything Must Go」ばりにストリングスが美しい「おいでシャンプー」
そして、最新シングルの「シンクロニシティー」は曲名こそポリスのあの曲であり、曲調、特にイントロはU2そのものである。
乃木坂46の冠番組である乃木坂工事中で、楽曲のファン投票ランキングを発表した際、6位に選ばれた同曲のパフォーマンスを終えたセンターを務めた生駒は、「この曲で私の歴史は終わったと言っても過言では無い」という名言を残した。
近田春夫が週刊文春「考えるヒット」の、前田敦子卒業後のAKBシングルの評論の中で、AKBは前田卒業後、「長い終わりの期間に入った」という至言を書いている。
同様に乃木坂46は「君の名は希望」以降、長い終わりの期間を生きながらセールス的には拡大を続け、音楽的にはUSスタジアムロック路線へと突き進む。
「ガールズルール」も「インフルエンサー」も「きっかけ」も無い、生駒色の強いセットリストは、UKインディーの香りがまだ残る在りし日の乃木坂46を思い出すような微笑ましいものであった。
そして、AKBと兼任していた生駒ならではAKB楽曲コーナーにて披露された、天才「武藤星児」がアレンジを手がけた「心のプラカード」はまたしても僕の心に深く楔を打ちつけたのであった。